神様のイメージカラー
神様のイメージはどのような色でしょうか。
教会、神社、いろいろな神様の領域にある色。
この記事では神域にある色に着目し、神様のイメージカラーはどんなものか探ります。
神様・四つのイメージカラー
神様を表すとき、多くの人にイメージされる色は「白、赤、青、黒」
それぞれの色がどうして神様のイメージにつながっているのか見てみましょう。
1.白は浄化
映画「ロード・オブ・ザ・リング」では、灰色のガンダルフが、試練の後に白のガンダルフになりました。
多くの日本人は、ガンダルフの神格が上がったと感じたでしょう。
彼は神様ではないので神格があがったわけではないそうなのですが、いずれにしても聖なる存在としての格が、一段あがったのはまちがいありません。
白は「純潔、浄化、神聖」を象徴します。
キリスト教では天使や復活の象徴として白が使われます。
仏教でも、僧侶が白い衣装を着ることがあり、これは清めや浄化を意味します。
白は神道においては特に重要で、この色で神さまへの純粋な心や儀式が清浄であることを表現します。
白はまぶしくて、私たちは見つめ続けることができません。
神聖で穏やかなのに、光を反射して近づきがたい印象も与えます。
白に対して、私たちの姿勢は受け身です。
影なく無限、そこでは祈りがどこまでも広がっていく。
白は、神様の筆頭のイメージカラーです。
2.赤はちから
日本の神社では赤が効果的に使用されますが、この赤には悪霊を払う力があるとされています。
赤は太陽の赤です。暗い寒い闇夜のすえに、昇りくる太陽の色です。
安堵、活力、始まり、パワーの色です。
赤は火の赤でもあります。獣を遠ざけて暖かさをくれ、でも容赦なくすべてを焼き尽くすかもしれません。私たちを呑み込むかもしれません。
赤は触れられない、手に負えない一面をもちます。
完ぺきな白に対して、赤は色味に幅があります。
絵具やペンキが無かった時代、自然界の赤は種類もおおく、移ろいやすいものでした。
薄い紅色、オレンジがかった朱色、茶色っぽい赤、黒っぽい赤、青みをおびた赤。
その中で、いつも人の目を覚ますような赤がありました。
それは血の赤です。
古代から色々な国の人にとって、血の色はまさに命の象徴でした。
赤は生命の守り神。その強さで悪霊を祓うとされます。
3.青は癒し
神社にあるのは、社殿や鳥居、砂利ばかりではありません。
境内にある生垣、ご神木のみどり、清流のきらめき。
重なる青(緑)、そこから香る風。
目にもやさしい青は、安らぎをもたらします。
(日本では、古代から中世にかけて青色と緑色ははっきり区別されていませんでしたので、この記事では青と緑をひとくくりでお話します。今でも信号は緑色なのに、日本では青信号と言いますよね。)
仏教で青は、天国や智慧をあらわすことがあります。
ヒンドゥー教のクリシュナ神は、無限の宇宙を象徴する青い肌をしています。
キリスト教でも青は天の色で、「神の存在」を示します。
マリア様の色でもあります。
ユダヤ教で青色は、神とのつながりや天を象徴する大切な色です。
青は人を包む自然界のやさしい色。神域によく見る色のひとつです。
4.黒は闇
太陽を待ち望むのは、魑魅魍魎(ちみもうりょう:いろんなお化け)がいるかも知れない、くらやみが怖いからです。
むかし街灯などなかった時代、陽が沈めばあたりはまっくら闇です。路地の先、暗がりのむこうは、異世界がぽっかりと口を開けているようで、もうとうてい自分たち人間の世界には思えません。
人が灯した火が照らせるのはわずかな手元の範囲だけで、すぐ近くに見えない恐ろしさが広がっていました。
なにがあるか見えないという事は、この上なく不安です。
電気が一晩中明るく照らしてくれる現代でも、夜の間にどうしようもなくさびしいと感じる事は、きっと誰にでもあるでしょう。
黒はそういった暗闇の色で、不安を呼び、絶望や死を連想させます。
暗闇はよく見えないために、人はついのぞきこむかもしれません。
白の世界は光を反射します。白からは飛び込んでくる情報の多さ、そのまぶしさに目を伏せることはあっても、人はのぞきこむことはありません。
黒の世界はぎゃくです。
黒は光を吸収します。何かがかくれているように感じ、目をひらいて人は覗こうとします。
赤の守護と白の浄化を願うのは、この美しく青い地球に、黒い闇があったからかもしれません。
でも、黒は悪い色なのではありません。
多くは死や無、終わりを連想させますが、それは同時に再生を意味するときもあります。
イスラム教では、文化的に神聖な意味合いをもたせて黒を使うこともあります。
古代エジプトでは、ナイル川が氾濫して良質な黒い土をもたらしたので、黒は良い色でした。
フィジーや他のメラネシア地域では、死者との霊的なつながりを表現するために、黒はとても重要な色です。
そして黒は、とても目に優しい、おだやかな色でもあります。
神様のイメージ、その他の色は
神様といえば思いつく色は、他にもあります。
たとえば紫色。
日本の伝統文化では、紫が「高潔」「知恵」「霊的な力」を表す色とされています。
ですから神社の神職や高僧がこの色のものを身に付けることがあります。
外国でもキリスト教の主教や枢機卿が紫の衣を着ることがあって、神域で紫を見かけることは少なくありません。
ヒンドゥー教では、サフラン色や赤、黄色、青などいろいろ使われますが、霊性や精神的覚醒でイメージされるのは紫色です。
黄色。
黄色は、タイやスリランカ、ミャンマーなど東南アジアの仏教国でたいせつな色です。
黄色は「仏陀の色」とされるからです。
僧侶の袈裟(けさ)は黄色やオレンジ色が主に使われます。仏教徒は、この色を身にまとうことで、仏陀の教えへの忠誠を示します。
ただ、同じように仏教国である日本では黄色やオレンジ色が特に重視されるわけでなくて、青、黄、赤、白、黒の五色をよく見かけます。
青は緑だったりし、また黒のところは紫だったりします。
信仰のイメージカラーは、地域によってちがいがあるのです。
アマゾンの先住民族にとっても、黄色は大切です。彼らにとって黄色は太陽を象徴し、精霊の力や光を呼び込むために使われます。
国旗のなかの神様のイメージカラー
国旗はその国の人たちにとって、自分たちを表す大切なものです。
国旗には、その国の人が大切だと思う印や色が使われます。
私たちの日の丸は、白地に赤。
これは神道を表しているわけではありませんが、神社の赤い鳥居や建物、白い玉砂利、そしてそこに仕える巫女さんの衣の色にそっくりな配色です。
緑いろは、イスラム教では重要な色とされています。
みどりは預言者ムハンマドに関連する色で、イスラム教徒にとって楽園や自然を象徴するそうです。
そのため、サウジアラビアやパキスタンなど多くのイスラム教国の国旗には緑色が含まれています。
赤や白もイスラム教徒の国旗でよく見られる色です。
キリスト教徒の国々では、青や白、赤の配色がよく見られます。
これらの色は、おおくの場合キリスト教における純潔、犠牲、信仰などを象徴します。
また、国の独立、自由を表すこともあります。
仏教を信仰する地域の国旗には、オレンジ系の色が含まれていることがあります。
国旗は、歴史、地理、政治など様々な背景があって決められていますから、必ずしもそこに信仰に関わる色があるわけではありませんが、神様の色をさがすヒントが隠されているかもしれません。
まとめ・神様のイメージカラー
こうして見ますと、神さまをイメージする色は国や宗教によって実にさまざまなことがわかりました。
青は天や神とのつながりを、白は清浄を、黄色は神聖な悟りを象徴するなど、色ごとにちがう意味が込められています。
これはそれぞれの文化や信仰が、それぞれの色に特別な価値を見出し、長い時間をかけて受け継いできたためです。
神様のイメージカラーは、決して一つに限定されるものではないようです。
きっと私たちが、さまざまな形で神聖なものと向き合い、心に何かを感じ取ってきたからこそ、多彩な色がその象徴として使われているのです。
この記事でわかったのは、どんな色も私たちの心の中で神さまをイメージする色になり得るのだということ。
それは、まさに世界の多様な信仰が、美しく共存している証でもあると言えるでしょう。
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