気象病で仕事ができない!そんな時の神頼み?

さっきまで元気だったのに、突然、息苦しくなる。
寝るときは何ともなかったのに、真夜中に猛烈な頭痛で目が覚める。
台風が二つも三つも重なると、ぐるぐる目が回って、立つこともままならない。
楽しみにしていた約束も、大事な仕事も、泣く泣くドタキャン。
毎年、春や秋になると、欠勤や早退が恒例行事のようになってしまった…。
気象病って何?

ここまで読んで、「何の話?」と思った方は、きっと気象病の症状がない方でしょう。
それはとても素晴らしいことです。
ただ、世の中には「天気によって体調が崩れ、生活に支障をきたす人がいる」ことだけでも知っていただけたら、この記事を書いた者として本当にうれしいです。
気象病(天気痛)とは、気圧の変化や湿度、気温の急激な変化によって引き起こされる体調不良の総称です。
主な症状には、頭痛、めまい、吐き気、ぜんそく、狭心症、関節痛、気分の落ち込みなどがあり、医学的には「気圧過敏症」として研究も進められています。
気象病の改善策

対策としてよく挙げられるのは、耳のマッサージ。
気圧の変化を感じ取るのは内耳にある気圧センサーの働きとも言われており、耳周辺をやさしく揉んだり、耳たぶを引っぱったりすることが効果的とされています。
気圧対応の専用耳栓や、漢方薬なども市販されています。
管理人自身もこれらの対策で、少し症状が軽くなった経験があります。
また、症状が出てしまったときには、頭痛薬や酔い止めも一つの選択肢です。
さらに、私のように胃も不調になるタイプには、タブレット状の梅干しなどを携帯しておくと安心感があります。
天気と上手につきあう工夫

改善とは少し違いますが、「気圧予報アプリ」などを使って、体調と天気の関係を可視化するのも有効です。
また、あらかじめ低気圧が予想される日、天候が変化する予報が出ている時には、重要な予定を避けるなど、スケジュール管理に工夫をすることも大切です。
それでも、「予報より先に体が反応してしまう」という声も多く、予測だけではどうにもならないこともあるのが、気象病の難しさです。
つらい!気象病の本当の苦しみ
目に見えない原因、予測できない襲来
この症状が厄介なのは、「その原因が目に見えず、そしていつ起こるか分からない」ことにあります。
午前中は絶好調で仕事に集中していたのに、あれ…?何だか気分が悪くなってきた…?と思ううちに、吐き気に襲われ、手を止めるしかなくなる。
そんな時、「ごめんなさい、席を外させてください」と周りに伝えるのも難しい。
自分が「サボっている」と思われるのではという不安と、実際の体調のつらさが、二重にのしかかってくるのです。

最近ではこの症状への理解も少しずつ広がってきました。
でもやはり、「誰だって雨の日は気が重いのに、あなたは騒ぎすぎじゃない?」といった周囲の反応に出会うことも、まだ少なくありません。
外は完全にいいお天気なのに、「見えない気圧変動で調子を崩しました」なんて、理由も言いずらい。
迷いに迷って早退を申し入れたのに、どこかの空の天候が落ち着いたとたん嘘のように体が軽くなり、今度は仕事を中断してしまったことへの罪悪感が、中から自分を締めつける――
雨の日はみんな辛いのに、自分だけ甘えてしまったのかと。
予測できた乗り物酔い、予測できない天気酔い

この症状を持つ人の多くは、子どもの頃から乗り物酔いを経験してきた方でもあります。
遠足のバスは憂うつ、遊園地のアトラクションは選びながら…。
それでも、乗り物は「乗ると酔う」と予測できました。
でも、天気は違います。
日本の天気予報が「明日は晴れ」と伝えていても、
遠く南の海で台風が生まれようとしている――
その数日前に、すでに体が反応してしまうこともあるのです。
気持ちも予定も、すべて空模様に左右されてしまう。
これでは誰とも約束できないし、大事な仕事は始めから自分が受けるべきではないのかもと思ってしまう。
この先の自分をまるで信じられなくなる、これが気象病の本当のつらさではないでしょうか。
そうだ、神社へ行こう!
2025年の春も、なかなか手ごわい気圧配置が続きました。
管理人恒例の頭痛は7回、早退が1回、欠勤も1回。せっかくの桜の花の季節も、早く過ぎ去るのを待つばかり。
体調とスケジュールを調整しながら何とか日々を過ごすなか、「そういえば、東京には“お天気”にまつわる神社があったはず」と思い出しました。

祈りをテーマにしているこのブログ。
なのに、こんな時こそ思い出すべき“神頼み”を忘れていたとは。
そのようなわけで今回は、気象神社へお守りをいただきに行って来ましたので、ご紹介いたします。
気象神社と氷川神社

東京・高円寺駅の南口を出て左側、目と鼻の先。
にぎやかな商店街の一角に、氷川神社と気象神社があります。
お店の合間から見える太い木々、鳥居のすぐそばには、「今日の天気」を表示する電光掲示板が光っています。歴史ある神社と現代の科学が共存する、なんとも不思議な空間です。

鳥居をくぐると、右手には手水舎、そして正面に氷川神社の本殿。気象神社は、この氷川神社本殿の左手に鎮座しています。

氷川神社の素戔嗚尊(すさのおの みこと)

この地の守り神、氷川神社の主祭神は、素戔嗚尊(すさのおの みこと)です。
日本神話では、姉である天照大御神(あまてらす おおみかみ)が天の岩戸に隠れる原因を作った、少し荒々しい神さまとして知られています。
しかし高円寺の氷川神社では、農業の神さまとして古くから地域の人々に親しまれてきました。
気象神社

氷川神社の境内にある気象神社は、珍しい由来を持つ神社です。
もともとは1944年、太平洋戦争中に陸軍で創建された神社で、戦いの勝敗を左右する「天気」を祈願する目的でまつられました。
戦後、多くの軍かんけい施設は整理されましたが、この神社だけが誤って残され、その後、氷川神社の神主さんが大切に守り、高円寺へ移したという事です。
ですから気象神社にお参りに行くという事は、まず氷川神社の素戔嗚尊(すさのおの みこと)にご挨拶をして、それから気象神社の方に祈願に行くという流れになるでしょう。
氷川神社に隣接した気象神社の小さくてかわいらしい参道には、カラフルなてるてる坊主や下駄の形をした絵馬がゆれていて、思わず写真を撮りたくなるような景色になっています。

管理人は晴れた日に訪れたこともあって、そこはまるで「キラキラした光の小径」のように感じられました。
八意思兼命(やごころおもい かねの みこと)
気象神社の主祭神は、八意思兼命(やごころおもい かねの みこと)。高天原の最高司令官である高皇産霊命(たかみ むすびの みこと)の御子とされる神様です。
名前にある「八意」は「さまざまな角度から考える知恵」、「兼」は「多くの役割を持つ」ことを意味し、その名の通り「知恵の神さま」として信仰されています。
日本神話では、天照大御神(あまてらす おおみかみ)が天の岩戸に隠れて世界が暗闇に包まれた時、神々の知恵を集めて岩戸を開く方法を考えだし、天照大御神をふたたび外の世界に導きました。
また、八つの気象──晴れ、雨、雪、風、雷、霧、霜、曇り──を司るともされ、気象の神さまとしても崇敬されています。
神奈川県伊勢原市、大山阿夫利神社(あふりじんじゃ)へむかう参道にも、ちょうど男坂と女坂の分岐点に八意思兼命神社が鎮座します。
大山は古くから雨降り山として信仰の対象になっていますから、気象を司る八意思兼命がここにも祀られているのは、偶然ではないでしょう。
天の岩戸に縁をもつ二柱の神

氷川神社に祀られる素戔嗚尊(すさのおの みこと)は、天の岩戸事件の「原因」を作った神さま。
一方で気象神社の八意思兼命(やごころおもい かねの みこと)は、その「解決」を導いた神さま。
つまり、一つの境内に「光を奪った者」と「光を取り戻した者」、二柱の対照的な神さまが並んで祀られているのです。この構成もまた偶然とは思えず、とても興味深く感じられます。
神社には科学の姿も──気象観測器と稲荷社
気象神社の裏手には、小さな稲荷神社もあり、五穀豊穣や商売繁盛の祈願もできます。
さらに、氷川神社の境内には、本格的な気象観測器も設置されています。
八方除けで有名な神奈川県の寒川神社では、「方位」を知る渾天儀が置かれていましたが、こちらにあるのは「天気」を知るための観測器です。


神さまの力と科学の知恵が共存している様子は、八百万が当たり前、次々と新しい存在を神として受け入れる、日本の神社ならではの風景です。
気象神社のホームページにも、今日の天気が表示されているのが面白いですよ。ぜひご覧になってみてください。
この神社は、実際のお社もウェブサイトも、「信仰とテクノロジーが出会う場所」という言葉がぴったりです。
お守り

願い事を伝える時は、神さまにわかりやすいように、自分の名前や住所を心の中でしっかり伝えるといいそうです。
管理人も「気象病が良くなりますように」と、感謝の気持ちをこめて手を合わせました。
さらに社務所では、気象神社ならではのお天気病よけのお守りを頂くことができます。
私が訪れたときは、800円で授与していただけました。手に取ると、なんだか安心感があり、「これからもっと上手に天気と付き合っていけるかな」と思えました。
氷川神社・気象神社アクセス
東京都杉並区高円寺南4-44-19
高円寺駅南口から、左の方をきょろきょろしながら歩いて30秒ほど。
路地をわずかに入るので、駅の出口から直接は見えませんが、ほぼ駅前にあります。
気象病でも心晴れ晴れ!気象神社まとめ

気象病は、気圧や湿度の変化によって体調が左右される、つらい症状です。
加速する異常気象の中、この症状に深刻に悩まされている方は少なくないでしょう。
病院はもちろん、耳のマッサージや気圧アプリなど、自分でもできる対策はあるけれど、完全に治すのはむずかしいのが現実です。
こんな調子じゃ何にもできない、どうしよう…。
そんなとき、高円寺に気象神社があることを思い出してください。
神さまと神さま、神話と科学、天と人が調和するこの場所には、静かな優しさと、晴れやかな力が宿っています。
世界が光を失ったときにも、どうしたらいいか考えだしてくれた神さまに、あなたの願いを伝えてみてください。
お天気と心がつながる、小さな神社。
あなたにも、知恵の神さまのやさしいご利益がありますように。
参考資料
佐藤 純 ,「天気痛」を教えて下さい, 週刊日本医事新報,5172,34,日本医事新報社,2023
佐藤 純 ,天気痛の本質と治療対策,日本頭痛学会誌49,81-83,2022
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