線香3本の意味・心をこめた祈りのために

線香3本?
線香って1本じゃないの!?
そう思ったあなたへ。
お線香の本数は宗派によって異なり、3本供える宗派もあります。
さらに、自分の宗派と異なる場所では、相手の宗派の作法に従うのがマナーとされています。
つまり、実家では1本で供えていた人も、場面によっては3本を立てるのが適切な場合があるのです。
この記事では、お線香を3本供える宗派や、その意味について分かりやすく解説します。
線香3本の宗派:天台宗と真言宗

日本で、いま一番信徒が多い仏教宗派は、浄土宗になります。
この宗派では「南無阿弥陀仏」と唱え、お線香は基本的に1本をお供えします。
ですから、お線香と言えば1本と思っている人が多いのは、自然な事です。
一方で、次に紹介する天台宗と真言宗はお線香を3本供えるのが普通です。
天台宗(てんだい しゅう)

天台宗は、中国の高僧・智顗(ちぎ)の教えをもとに、最澄(さいちょう)が日本に広めた宗派で、総本山は比叡山 延暦寺です。
天台宗では、すべての人が仏になれる可能性を持っていると考えます。そのため、特別な人だけが悟りへ至るのではなく、修行を通じて誰もが仏になれると説いています。
また、「一隅を照らす」という教えを大切にしており、自分のいる場所で善行を積み重ねることが、社会全体を良くする第一歩だと考えます。
天台宗では、お線香を3本供えるのが一般的です。

真言宗(しんごん しゅう)


真言宗は、空海(くうかい)が開いた密教の宗派で、総本山は東寺(とうじ)※や高野山金剛峯寺(こんごう ぶじ)などです。
教えの中心は「真言密教」で、「真言」とは仏さまの真実の言葉を指します。これは単なる言葉ではなく、宇宙の真理や深い意味を持つものとされています。
真言宗では、「三密加持(さんみつかじ)」という修行があり、「身(しん、行動)・口(く、言葉)・意(い、心)」の3つを仏さまと一体化させることで悟りへ至ると考えます。
真言宗でもお線香を3本供えるのが一般的です。

お線香を3本供える意味

3本のお線香にはいくつかの意味が込められていますが、例として次のようなものがあります。
・三宝(仏、法、僧) ー 仏教の根本となる三つの要素
・過去、現在、未来 ー すべての時間に祈りを捧げる
また、お線香は供物としての意味だけでなく、香りによって空間を清め、祈りを仏さまに届ける役割も持っています。
仏教では「数」を大切にし、悟りの道を理解するために数字の概念を重視します。「無量大数」や囲碁の「劫(こう)」といった言葉も、数字を表わす仏教用語が由来です。
天台宗や真言宗では、「3」という数に意味を持たせ、お線香を1本ずつ祈りを込めて供えるのです。
お線香3本の正しい立て方
お線香は折らずに、次のように立てるのが基本です。
奥に2本,手前に1本
ただし、四十九日までは故人の魂がまだ修行中の段階とされ、仏ではなく「霊」として扱われるため、死後の道を迷うことなく歩めるよう、天台宗・真言宗でも お線香は1本だけ 供えます。
他宗派の作法に合わせるべき?
訪問先の宗派が自分と異なる場合は、相手の作法に従うのがマナーとされています。
例えば、普段は曹洞宗で1本だけ供えていても、天台宗のお宅では3本供えるのが適切です。
また、浄土真宗ではお線香を折って横に寝かせる供え方をします。このような場合も、相手の作法に合わせるのが理想的です。
まとめ:心を込めて適切な作法でお線香を

お線香の本数は宗派によって異なり、3本供える宗派もあります。
もし訪問先の作法と違う供え方をしても、注意されることはほとんどありません。
しかし、知らないままに長年異なる作法を続けてしまうこともあり得ます。
宗派や家庭によって作法が異なることを知っておけば、相手への配慮ができ、より心を込めた祈りを捧げることができます。
次にお線香をあげるときは、相手の作法を意識してみましょう。
参考資料と補足
天台宗公式ホームページ
※ 東寺(とうじ)は教王護国寺(きょうおう ごこくじ)とも言う。
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